このたび、慶應義塾大学病院に新たに小児頭蓋顔面(クラニオ)センターを立ち上げました。これまで、慶應義塾大学病院では、1981年から頭蓋縫合早期癒合症をはじめとする生まれつき頭や顔に変形をもつ患者さんの治療を行ってまいりました。当初は各診療科が独立して診療にあたってまいりましたが、こうした頭蓋顔面疾患は比較的まれで特殊性の強い病気であるため、その診療には高度な専門性と各診療科の連携が要求されます。そのため欧米諸国では小児科、脳神経外科、形成外科を中心としたチームが形成されていますが、本邦では欧米レベルのチーム医療が実践できている施設は非常に少ないのが現状です。
慶應義塾大学病院では、2013年より組織を一新し、まずチーム医療の核を形成しました。そしてこの核を中心として、各診療科との連携を強くすることで、診療実績を増やしてまいりましたが、病院として診療を提供できる患者数には限界がありました。2018年5月に新病院棟がオープンし、最新の設備とマンパワーの充実から、これまで以上に多くの患者さんに治療を提供できる体制が整ったと判断し、慶應義塾大学病院小児頭蓋顔面(クラニオ)センターを設立することとなりました。
慶應義塾大学病院小児頭蓋顔面(クラニオ)センターでは、小児科、脳神経外科、形成外科、眼科、耳鼻咽喉、整形外科、放射線診断科、麻酔科、歯科口腔外科、臨床遺伝センターが集結し、より高度なかつ質の高い医療を患者さんに提供したいと考えています。
貴志 和生
小児頭蓋顔面(クラニオ)センター長
慶應義塾大学医学部形成外科 教授