頭蓋顔面外科が生まれた当初から、手術は形成外科と脳神経外科が協力しておこなってきました(「クラニオって?」参照)。さらに生まれつきの子に治療を行うことが多い頭蓋顔面外科では、小児を専門とする麻酔科医や、術後の全身状態の管理のために小児の集中治療を専門とする医師などが必要不可欠です。そして治療後もその成長を長期に見守っていく必要があります。ときに様々な合併症をきたすことがあるために、柔軟にかつ迅速に対応できるチーム体制が必要です。
また当センターで治療対象としている疾患は、その発症数が非常に少ない病気ばかりです。そのため治療する施設を多くしてしまうと、それぞれの施設で治療する患者数は少なくなってしまいます。そこで治療成績の向上と安定化のために欧米では治療を行う施設をしぼることで、その施設に患者を集約しています。
各国のクラニオセンターのロゴ(左からパリ、オックスフォード、ロンドン)
そのため、欧米の治療を行っている施設には必ずクラニオセンター(施設によってクラニオユニットという名称のことも)があります。当院でもチーム体制はありましたが、多くの患者を受け入れるだけのマンパワーがありませんでした。今回、設備とマンパワーの充実から、治療を必要とする多くの患者さんに、安定した私たちのチーム医療を継続して提供できると判断し、センターを立ち上げました。