対象疾患

向き癖による頭蓋変形(頭囲性頭蓋変形)

赤ちゃんはお母さんのおなかの中から出てきやすいように、頭の骨を変形させて出てきます。それだけ赤ちゃんのあたまは柔らかく、お腹のなかで横位になっていたり、あるいは多胎、早期下降や羊水が少なかったりすると、赤ちゃんの頭に圧力がかかり変形してしまいます。
その他にも出産時の外圧で変形したり、そして一番多いのが同じ方向で寝かせ続けたり、抱っこしている「向き癖」によるものです。

向き癖による頭の変形の代表例

向き癖による頭の変形の代表例

様子を見るだけでは、自然に改善することは少なく、時として頭蓋縫合早期癒合症という病気のこともあるために、気になった場合には早めに受診されることをお勧めしております。
「向き癖」であれば、赤ちゃんの成長に影響することはありません。また『まっすぐ歩けなくなる』、『斜視になる』といううわさがインターネットには載っていますが、向き癖とは関係がありません。ただ、将来的に頭の形がゆがんでいると、眼鏡のサヤの長さの調整が必要になったり、野球帽が安定しない、といった生活上のちょっとした不都合はあるようです。

ご自宅でできる方法としては、できるだけ同じ姿勢での寝かせっぱなしを続けさせないことです。意外と見落としがちなのは、ベビーカーです。小さいうちからのベビーカーの使用は向き癖がつきやすくなります。また向き癖対策で有名なのが「ドーナツ枕」ですが、正直効果はありません。民間療法の「頭蓋骨矯正」も根拠がなく、消費者庁からも注意喚起されております。繰り返しにはなりますが、寝かせっぱなしを続けさせないことが大切です。
欧米ではラッコケアといって、おなかのうえに赤ちゃんを腹ばいに乗せる姿勢を1日5分、6か月まで行うことを推奨しています。

積極的な治療方法としてはヘルメットを使って、きれいな頭の形に誘導する方法があります。ただヘルメット治療は保険適応外の治療となります。
ご自宅での対処方法もヘルメット治療も、頭蓋骨が柔らかく、脳が大きくなるスピードが速いうちに行うことが効果的です。そのためにも、できるだけはやく診断を受けることが重要で、生後6か月を超えると矯正が難しくなります。
当院では頭蓋縫合早期癒合症ではないことを鑑別した上で、ヘルメット治療をご希望の場合には当院赤ちゃんのあたまの形外来をご案内させていただいております。