対象疾患

第一第二鰓弓症候群

妊娠初期の胎生期と呼ばれる時期に鰓弓(さいきゅう)という骨や筋肉を作るもとになるものがあらわれます。これは第1~6番まであり、特に第1と第2に何らかの異常が発生し、ここから作られる骨や筋肉などに発育障害を生じる疾患を第1第2鰓弓症候群と呼びます。両側ではなく片側に起こることが多いので別名Hemifacial Microsomia(顔の片側の低形成という意味)ともいいます。第1と第2鰓弓からは下あごや耳、頬の筋肉ができあがるため症状としては、①下あごが片側のみ小さい、②あごの関節の動きが悪い、③小耳症・副耳などの耳の変形、④聴力の問題、⑤片側の顔面神経麻痺、といったことがあげられますが、その程度は様々です。

発症頻度は本邦では5000人に1人とされています。
治療は、変形が多岐にわたることと、手術に適した年齢を待つ必要などがあるため、すべての治療を行うには長い年月が必要となります。
巨口症や副耳などの軽度の耳の変形は乳児期に行われます。また最近では顔面輪郭の非対称をできるだけカモフラージュするために同時期に脂肪移植を行うことがあります。

その後、小耳症がある場合には、肋軟骨を用いた耳介再建術を学童期に行います。
下顎部の骨格性非対称性に関しては、矯正歯科医との連携が必要となります。顎成長がほぼ完了する14~16歳以降に美容外科的な技術を用いた骨切り術と骨延長術を併用して、左右対称性とかみ合わせを得られるようにします。

頭蓋縫合早期癒合症(中顔面手術)

実態模型による手術のシミュレーション
上下顎骨のゆがみを改善するために骨切り術と下顎骨延長を併用している。
(症状が軽症の場合には骨延長術は用いないこともある)

最後に必要であれば軟部組織部分の左右対称性として脂肪移植などの最終調整を行います。
その他、同じように神経の問題により顔面の片側のみの発育障害を認めるロンバーグ症候群も治療対象となります。