赤ちゃんのおでこの少し上を触ると柔らかいところがあります。この部分を大泉門とよび、脳が成長できるように(生後1年で約2倍の大きさになります)、赤ちゃんの頭の骨はすきまがあるとともに、完全にはくっついていない状態になっています。このつなぎ目のことを頭蓋骨縫合と呼びます。 |
マウスを乗せると頭蓋縫合が赤色、大泉門が黄色で示されます。
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頭蓋骨縫合早期癒合症とは、何らかの原因でこの縫合が通常よりも早い時期に癒合してしまう病気です。頭蓋骨縫合が早期に癒合してしまうと,、頭蓋容積が大きくならず頭蓋骨の変形やときには頭蓋腔が狭いために脳圧亢進症状(精神発達障害や視力障害など)を呈することになります。また癒合する縫合の種類により様々な形になります。
頭の変形だけでなく、さまざまな変形を合併することもあります。眼球突出をともなうクルーゾン症候群、眼球突出と手足の問題を合併するアペール症候群、ファイファー症候群など代表例です。最近では胎児診断で早期に診断がつくこともあります。ご希望の方には出産前に疾患や当院での治療方針につきご説明いたします。
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治療は頭の形を一度で作ってしまう頭蓋形成術と少しずつ頭の大きさを大きくしていく骨延長術のひとつである頭蓋拡大矯正術があります。それぞれの症例に応じてその適応を検討いたしますが、クルーゾン症候群など脳ががあまりにもきつく、拡大させる量が大きい場合には骨延長術が適応になります。特徴を下の表にまとめました。いずれの手術も手術時間は3〜4時間ほどです。
当院では子どもの特徴に熟知し、本疾患に対して豊富な経験のある形成外科・脳外科・小児科・麻酔科・矯正歯科の医師が連携し、チーム医療を行っております。 |