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顔面非対称疾患 Hemifacial Microsomia
  妊娠初期の胎生期と呼ばれる時期に鰓弓(さいきゅう)という骨や筋肉を作るもとになるものがあらわれます。これは第1〜6番まであり、特に第1と第2に何らかの異常が発生し、ここから作られる骨や筋肉などに発育障害を生じる疾患を第1第2鰓弓症候群と呼びます。両側ではなく片側に起こることが多いので別名Hemifacial Microsomia(顔の片側の低形成という意味)ともいいます。第1と第2鰓弓からは下あごや耳、頬の筋肉ができあがるため症状としては、@下あごが片側のみ小さい、Aあごの関節の動きが悪い、B小耳症・副耳などの耳の変形、C聴力の問題、D片側の顔面の麻痺、といったことがあげられますが、その程度は様々です


下顎の左右非対称を認める
  治療は、変形が多岐にわたることと、手術に適した年齢を待つ必要などがあるため、すべての治療を行うには長い年月が必要となります。
  巨口症や
副耳などの軽度の耳の変形は
乳児期に行われます。その後、小耳症がある場合には、肋軟骨を用いた耳介再建術を行います。
  下顎部の非対称性に関しては、変形が高度の場合には
6〜8歳くらいに骨切りを行って徐々に骨を移動する仮骨延長術を行います。従来は歯の噛み合わせが悪くなるということが指摘されていましたが、我々はその問題点を解決する手術術式(上顎主導の上下顎同時骨延長術)を考案し、さらに矯正歯科医と共同で実体モデルコンピュータによる手術シミュレーションを用いた手術のプランニングと、延長によるかみ合わせの管理を行うため、良好な左右対称性とかみ合わせを同時に得られています。
  最終的には顎成長がほぼ完了する
14〜16歳以降に美容外科的な技術を用いた骨切りや脂肪や筋肉などの移植といった最終調整を行います。
  その他、同じように神経の問題により顔面の片側のみの発育障害を認める
ロンバーグ症候群も治療対象となります。こうした顔面神経麻痺に対しては、一揆的に神経付筋移植で再建する術式を世界で初めて開発し、良好な結果を得ています。

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